【法的責任】「統括防火管理者」と「防火管理者」の違いとは? テナント火災でオーナーが問われる「業務上過失」のリスク

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複数のテナントが入居する「複合ビル」や「雑居ビル」を所有・管理されているオーナー様へ。

消防署から「統括防火管理者を選任してください」という通知が届き、「各テナントには既に防火管理者がいるはずだ。なぜ私が新たに管理者を選任しなければならないのか?」と疑問に思われたことはないでしょうか。あるいは、書類作成だけを管理会社や行政書士に依頼し、「選任届を出したから、これで法的な責任は果たした」と安心されてはいないでしょうか。


もし、これらに心当たりがあるならば、貴社は今、非常に大きな経営リスクを抱えている可能性があります。


「統括防火管理者」と、通常の「防火管理者」。

名前は似ていますが、この二つは「法的責任の範囲」において決定的に異なります。そして、その違いを正しく理解していないことが、万が一の火災発生時に、ビルオーナー様ご自身を「業務上過失致死傷罪」などの重大な法的責任に追い込む要因となり得るのです。


本記事では、曖昧になりがちなこの二つの役割の決定的な違いと、ビルオーナーが知っておくべき「テナント管理」の法的リスクについて、専門家の視点で解説します。


目次

- 1. 決定的な違いは「責任範囲」。統括防火管理者が「建物全体」の責任を負う理由

- 2. 最大のリスクは「テナントの不備」を放置すること。「指示権」という重い責任

- 3. 「選任届を出しただけ」の形骸化。テナントが非協力的な場合の「手詰まり」状態

- 4. オーナーを守る「最強の防具」は設備。なぜ「株式会社防災通信工業」が選ばれるのか

- 5. まずは手元の「点検報告書」を確認。「不備事項」の解消が安全への近道




■決定的な違いは「責任範囲」。統括防火管理者が「建物全体」の責任を負う理由

まず、法律上の定義における両者の違いを明確にします。



・防火管理者

各テナント(例:3階の飲食店、4階のクリニック)の事業主(管理権原者)が選任します。その責任範囲は、原則として「自社の専有部分(室内)」に限られます。自分の店から火を出さないための管理を行うのが彼らの役割です。



・統括防火管理者

建物全体の管理権原者(多くはビルオーナー様)が選任します。その責任範囲は、廊下や階段などの共用部だけではありません。「全テナントの専有部分を含む、建物全体」の防火管理を統括する責任を負います。

つまり、統括防火管理者は、自分が直接経営していない「テナント内部の防火管理状況」に対しても、監督責任を持つことになります。これが最大の違いです。

この統括防火管理者の選任は、以下の基準に該当する建物において「法的義務」となります。


1. 高層建築物(高さ31m以上)

2. 特定用途(デパート、ホテル、病院、飲食店など)を含む複合ビルで、3階以上かつ収容人員30人以上

3. 非特定用途(事務所、共同住宅など)を含む複合ビルで、5階以上かつ収容人員50人以上


特に注意が必要なのは「2」のケースです。一見すると普通の「中規模雑居ビル」や「下駄履きマンション(1階が店舗)」であっても、この基準に該当し、選任義務が発生しているケースが多々あります。ご自身のビルが対象かどうか、今一度確認が必要です。




■最大のリスクは「テナントの不備」を放置すること。「指示権」という重い責任

「テナントの店内で起きた火災や法令違反は、テナントの責任ではないのか?」

そう思われるオーナー様も多いでしょう。しかし、統括防火管理者制度においては、その理屈は通用しません。


なぜなら、統括防火管理者には、各テナントの防火管理者に対して、防火管理上必要な措置を命じる「指示権(しじけん)」という法的な権限が与えられているからです。


これは「権利」であると同時に、「行使すべき義務」でもあります。


例えば、あるテナントが「防炎物品ではないカーテンを使っている」「避難口の前に荷物を置いている」といった法令違反を犯していたとします。統括防火管理者(オーナー)がその事実を知りながら、テナントに対して「改善しなさい」という指示(指導)を行わず、「放置」した結果、火災が起きて被害が拡大した場合どうなるでしょうか。


法的には、「指示権を持つ者が、その権限を行使せず、危険を放置した」とみなされます。その結果、火元であるテナントだけでなく、ビルオーナー様も「管理責任(不作為による過失)」を問われ、多額の損害賠償や刑事責任を負うリスクが生じるのです。


「知らなかった」や「テナントが勝手にやったこと」という言い訳が通じないのが、この「統括防火管理者」という役割の重さです。




■「選任届を出しただけ」の形骸化。テナントが非協力的な場合の「手詰まり」状態

統括防火管理者の選任において、最も陥りやすい失敗パターンは、「消防署に選任届と全体消防計画を提出して、義務を果たしたつもりになる」ことです。


書類上の手続きは、あくまでスタートラインに過ぎません。真に問われるのは、その計画通りに「実効性のある管理」ができているかという点です。しかし、実際のビル管理の現場では、この「実行」の段階で深刻な問題に直面します。


それは、「テナントが防火管理に協力的でない」という問題です。


例えば、避難通路に置かれた荷物を片付けるよう何度注意しても、「置き場所がない」と無視される。あるいは、防火扉の前に商品を陳列してしまう。特に、コミュニケーション自体が難しいケースも少なくありません。


ここでオーナー様は、深刻なジレンマ(板挟み)に陥ります。


強く指導すればテナントとの関係が悪化する恐れがあり、かといって放置すればオーナー自身が法的責任を問われる。自分では解決できないが、放置もできない。この「詰み(手詰まり)」のような状態こそが、統括防火管理者が抱える最大の悩みであり、リスクなのです。




■オーナーを守る「最強の防具」は設備。なぜ「株式会社防災通信工業」が選ばれるのか

では、テナント問題を抱えるオーナー様はどうすればよいのでしょうか。

精神論や話し合いで解決しない場合、まず行うべきは「オーナー側の責任範囲(ハード面)」を完璧にしておくことです。


もし、ビル側の自動火災報知設備が故障していたり、避難器具が錆びついて使えなかったりすれば、オーナーの管理責任は免れません。逆に言えば、「建物自体の設備は完璧である」という事実こそが、万が一の際にオーナー様を守る最大の防御壁となります。

私たち「株式会社防災通信工業」は、この「設備の不備解消(改修工事)」に強みを持つ専門企業です。



・「指摘事項」の早期解消によるリスク低減

消防設備点検で「不備」と判定された箇所を放置することが、最も危険です。当社は点検結果に基づき、必要な改修工事を迅速に見積もり・施工します。「不備なし」の状態を維持することが、オーナー様の法的安全を確保する第一歩です。



・「ハード」と「ソフト」のワンストップ対応

防火管理(ソフト)の基盤は、正常に動作する消防設備(ハード)です。当社は設備の設計・施工から点検までを一貫して行うため、不具合が発生した際もスピーディーに対応可能です。窓口を一本化することで、管理の手間とコストを削減します。



・コストパフォーマンスに優れた是正工事

自社施工体制により、中間マージンを抑えた適正価格での工事が可能です。「消防署から指摘を受けたが、どこに工事を頼めばいいか分からない」という場合も、安心してお任せください。

まずは、足元の「設備」を固めることから始めましょう。それが結果として、統括防火管理者としての責任を果たす最短ルートとなります。

▼株式会社防災通信工業についてはこちら



■まずは手元の「点検報告書」を確認。「不備事項」の解消が安全への近道

「統括防火管理者」としての責任の重さに不安を感じたら、まずは直近の「消防用設備等点検結果報告書」を開いてみてください。


そこに「×(不備)」のマークがついている項目はありませんか?


もし不備があるなら、テナント管理に悩む前に、まずはその不備を解消(改修工事)することが先決です。ハードウェアが完璧であって初めて、ソフト面の管理も機能します。

「点検表の見方が分からない」「不備があるが、修理費用が適正か知りたい」。

そのような疑問があれば、まずは私たちにご相談ください。株式会社防災通信工業は、お客様の資産を守るための「確実な設備改修」を通じて、ビル経営の安全をサポートいたします。

▼無料相談・お見積りはこちら(株式会社防災通信工業 お問い合わせフォーム)