消防立入検査で「違反対象物」にしないために 指摘されやすい不備ワースト5と是正報告書の書き方

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ビル管理会社の担当者にとって、「消防署の立入検査」は毎回プレッシャーのかかるイベントです。書類の準備や現場確認に追われるなか、検査当日に思わぬ指摘を受けてしまい、オーナーやテナントから苦情が寄せられた経験のある方も多いのではないでしょうか。


立入検査での指摘自体は珍しいことではありませんが、是正を先送りにしたり、対応の仕方を誤ったりすると、違反対象物公表制度による「建物名」の公表、オーナーの資産価値やテナント募集への悪影響、場合によっては刑事告発や罰則といった深刻なリスクにつながる可能性があります。


本記事では、防災工事・点検の現場で実際に多く見られる「指摘されやすい不備」をワースト5形式で解説し、あわせて、指摘を受けた後に求められる是正対応・報告書作成のポイントを整理します。「次の立入検査をできるだけスムーズに終わらせたい」「指摘を受けたが、何から手を付ければいいか分からない」というビル管理会社のご担当者さまは、ぜひチェックリスト代わりにお役立てください。


【目次】

- 他人事ではない! 立入検査の指摘を放置するリスク

- 【プロが選定】立入検査で指摘されやすい項目ワースト5

- 保存版! 立入検査前にできる「セルフチェックリスト」

- もし「改修是正報告書」の提出を求められたら?

- 指摘是正から報告代行まで、防災通信工業が解決します

- まとめ




■ 他人事ではない! 立入検査の指摘を放置するリスク


・ 違反対象物公表制度と罰則の強化

消防署からの指摘事項(命令)に従わず放置した場合、最も恐れるべきリスクの一つが「違反対象物公表制度」です。これは、重大な消防法令違反がある建物の名称、所在地、違反内容を、消防署のウェブサイトなどで一般公開する制度です。一度公表されてしまえば、テナントの入居率低下や、金融機関からの評価下落など、ビル経営に直結する深刻なダメージを受けかねません。


また、悪質な違反放置に対しては、罰則も強化傾向にあります。防火管理者や建物の所有者に対し、懲役刑や高額な罰金などの刑事罰が科されるケースも、実務上実際に存在します。「少しくらい後回しにしても大丈夫だろう」という認識は、現代のコンプライアンス基準では通用しないと心得るべきです。詳細は所轄の消防署へ確認が必要ですが、重大な違反として指摘を受けたら即座に対応計画を立てることが、自身と建物を守る唯一の道です。




■ 【プロが選定】立入検査で指摘されやすい項目ワースト5


・ 【第1位】避難障害(階段・通路の物品放置)

最も多く、かつ厳しく指摘されるのが、避難経路となる廊下や階段、防火扉の前に物が置かれているケースです。「一時的に置いているだけ」「少しなら通れるから大丈夫」という言い訳は通用しません。火災時に煙が充満すれば、わずかな障害物でも避難の遅れや転倒を招き、人命に関わるからです。


【簡易チェックポイント】

階段の踊り場や廊下に、段ボールや清掃用具などが置かれていないか?

防火扉(鉄扉)の開閉範囲に、商品や看板がはみ出していないか?

テナントが「一時置き」と言いつつ、常態化している荷物はないか?



・ 【第2位】未警戒エリアの発生(間仕切り変更・増設)

設備的な不備で最も見落とされがちなのが、テナント入替時のレイアウト変更に伴う「未警戒」です。フロアを小部屋に区切るパーテーションを設置した際、その新しい部屋の中に感知器やスプリンクラーヘッドがない状態になってしまうケースです。


内装工事(B工事・C工事)が先行し、消防設備業者の手配が後回しにされた結果、工事完了後の立入検査で「感知器が足りない(未警戒)」と指摘され、天井を剥がしての是正工事が必要になるトラブルが後を絶ちません。


【簡易チェックポイント】

テナント入替やリニューアル工事で、新しく壁や間仕切りを作っていないか?

天井まで届く背の高い什器や棚を設置し、スプリンクラーの散水を妨げていないか?

会議室や倉庫を増設した際、消防設備の増設工事も同時に発注したか?



・ 【第3位】誘導灯・非常灯の不点灯

いざという時に避難口を示す誘導灯や、停電時に点灯する非常灯の「球切れ」「バッテリー切れ」も頻繁に指摘されます。外見上は点灯していても、バッテリーの寿命が切れており、非常時に規定の時間(機器の種別によっては20分や60分など)点灯しないケースも不備となります。


【簡易チェックポイント】

誘導灯のランプは正常に点灯しているか?

器具の「充電モニター(ランプ)」が点滅・消灯するなど、異常を示していないか?

紐を引く、または点検ボタンを押して、非常点灯モードに切り替わるか?



・ 【第4位】消防計画・届出の未提出・更新漏れ

ハード面(設備)に問題がなくても、ソフト面(書類)で指摘を受けるケースです。特に多いのが、防火管理者が退職して変わっているのに変更届が出されていない、あるいはテナントが変わったのに消防計画が実態と合っていないという不備です。


【簡易チェックポイント】

選任されている防火管理者は在籍しているか(退職していないか)?

テナントの入居状況や建物の用途に変更があった際、消防計画を見直したか?

定期的な消防訓練を実施し、その結果を消防署へ報告しているか?



・ 【第5位】防炎物品の使用義務違反

高層ビル、地下街、飲食店、百貨店などでは、カーテンやじゅうたん等に「防炎物品」を使用することが義務付けられています。ホームセンターなどで安価に購入した防炎ラベルのない製品を使用していると、撤去や交換を指導されます。


【簡易チェックポイント】

カーテン、じゅうたん、ブラインドに「防炎ラベル」が縫い付けられているか?

テナントが独自に持ち込んだ装飾品が、防炎性能を有しているか確認したか?

洗濯によって防炎性能が落ちる製品(ラベルに記載あり)を使っていないか?




■ 保存版! 立入検査前にできる「セルフチェックリスト」

立入検査の通知が来たら、検査日までに以下の項目を管理会社側で自主点検しておくことを強くお勧めします。これらを事前に潰しておくだけで、指摘事項の多くを回避できます。


避難経路の確保

階段・廊下・防火戸付近に物が置かれていないか(全フロア巡回)。


間仕切り変更の確認

直近で工事をした区画に、感知器やスプリンクラーはあるか。


灯火類の確認

誘導灯・非常灯の球切れ、モニターランプの異常はないか。


消火器の確認

有効期限内か、ピンは抜けていないか、所定の位置にあるか。


届出の確認

防火管理者選任届、消防計画、点検報告書は最新か。


防炎物品の確認

カーテン等に「防炎」のタグが付いているか。




■ もし「改修是正報告書」の提出を求められたら?



・ 指摘項目の内容を正確に把握する

立入検査で不備が見つかると、「立入検査結果通知書」が交付され、重大なものや即時改修できないものについては「改修(計画)報告書」の提出を求められます。まずは通知書に書かれている専門用語を正しく理解することが第一歩です。


(例) 「避難階段において避難上支障となる物品の放置が認められたため、除去すること」 「○階会議室において自動火災報知設備の未警戒部分が認められたため、感知器を増設すること」


何が違反で、どうすれば是正とみなされるのか、不明点はその場で消防署員に確認するか、専門業者に通知書を見せて相談しましょう。



・ 是正計画の策定と報告書の作成手順

報告書には、単に「直します」と書くだけでは受理されません。具体的かつ実現可能な計画を記載する必要があります。


【報告書の記載構成案】

改修項目: 指摘された内容(例:○階 未警戒部分の解消)

改修方法: 具体的な工事内容(例:感知器の増設工事を実施する)

完了予定日: 工事や手配が完了する具体的な日付

備考: 工事業者の手配状況など


特に「完了予定日」は重要です。工事を伴う場合、予算取りや業者手配に時間がかかることを考慮し、消防署と相談の上で現実的な期日を設定しましょう。




■ 指摘是正から報告代行まで、防災通信工業が解決します



・ スピーディーな見積もりと改修工事

立入検査で指摘を受けた際、ビル管理会社様が最も頭を悩ませるのは「どこに頼めば早く直るのか」という点ではないでしょうか。


株式会社防災通信工業は、千葉県柏市・流山市を中心に、消防設備の点検から改修工事までをワンストップで提供しています。立入検査の指摘事項に対する是正工事は、当社の最も得意とする分野の一つです。


未警戒エリアへの感知器増設

配線工事から設置、試験まで自社施工。


誘導灯・非常灯のバッテリー交換

主要メーカーの在庫確保による迅速対応。


避難器具の改修

老朽化したハッチやはしごの交換。


消火器の交換

期限切れ消火器の回収と新品設置。


大手メーカーの代理店としての調達力と、自社技術者による機動力で、指摘事項を最短で解消するための工事プランをご提案します。



・ 改修工事とセットで安心。面倒な報告書作成もサポート

工事をして終わりではありません。当社に是正工事をご依頼いただいたお客様には、消防署へ提出するための「改修完了報告書」や、工事前の「着工届」「設置届」といった面倒な書類作成もあわせてサポートいたします。


消防設備に関する書類は、実際に施工内容を把握している業者が作成することで、最もスムーズに受理されます。「工事は頼むから、その後の書類や報告まで全部任せたい」。そんなビル管理会社様の手間を、ワンストップで解消します。


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■ まとめ

消防署の立入検査は、建物の安全性を担保するための重要な機会ですが、指摘を受ければ是正の義務が生じます。特に「避難障害」や「未警戒エリア」は人命に直結するため、厳しくチェックされます。


もし指摘を受けてしまっても、焦る必要はありません。重要なのは、誠実かつ迅速に改善計画を示し、実行することです。「指摘内容の見積もりが欲しい」「報告書の書き方を教えてほしい」など、お困りの際はぜひ一度ご相談ください。指摘事項をゼロにし、安心できる建物管理を取り戻すお手伝いをさせていただきます。


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