CO2消火設備の法改正対応と事故リスク。閉止弁の設置義務や容器弁の点検時期を解説

「ニュースで見たCO2消火設備の事故、うちは大丈夫だろうか?」

「法改正があったと聞いたが、具体的に何をすればいいのか分からない」


駐車場や電気室、通信機械室などに設置されている「二酸化炭素(CO2)消火設備」。

高い消火能力を持つ反面、誤放出による死亡事故が後を絶たず、消防法および関連規定が厳格化されています。


まずは、管理者様ご自身で以下のチェックリストをご確認ください。


【CO2消火設備(全域放出方式)法令対応チェックリスト】

  • 閉止弁(シャットオフバルブ)の設置はお済みですか?(経過措置期限:2024年3月31日まで)
  • 新標識(イラスト・文章を含むもの)への更新はお済みですか?(経過措置期限:2023年3月31日まで)
  • 維持管理図書(閉止弁の開閉記録等)は備え付けていますか?(経過措置期限:2023年3月31日まで)
  • 消防設備士等による点検を実施していますか?(延べ面積に関わらず必須)


もし一つでも「いいえ」あるいは「分からない」がある場合、消防法違反の状態にあるだけでなく、点検業者や従業員を重大な事故リスクに晒している可能性があります。


本記事では、必ず知っておくべき法改正のポイントと、高額な修理費を防ぐための計画的なメンテナンス(容器弁の更新等)について、公式情報に基づき解説します。




■【2023年施行】改正消防法で義務化された4つの対策

相次ぐ事故を受け、二酸化炭素消火設備の基準が厳しくなりました(消防法施行規則等の改正)。特に既存の建物であっても、「経過措置」の期限内に以下の改修を行う義務があります。



・1. 閉止弁(シャットオフバルブ)の設置

点検や工事の際、消火剤が誤って放出されないよう、配管(集合管または操作管)に物理的にガスを遮断する「閉止弁」を設けることが義務化されました。

既存設備への設置期限は2024年(令和6年)3月31日までとなっており、未設置の施設は早急な改修工事が必要です。



・2. 標識の適正化(イラストと文章)

従来の文字だけの注意書きではなく、日本語が読めない方や緊急時でも直感的に危険性が伝わるよう、「図記号(イラスト)」を含む標識の設置が必要です。

また、「室内に人がいないことを確認する」「放出時は直ちに退避する」といった具体的な注意喚起文の掲示も義務付けられています。(既存設備の期限:2023年3月31日まで)



・3. 維持管理情報の記録と図書備付

制御盤の付近に、設備の系統図や操作方法を記載した図書を備え付ける必要があります。さらに、「閉止弁の開閉状態」「自動・手動切替スイッチの維持状況」などの保安措置を定期的に確認し、記録に残すことが義務化されました。(既存設備の期限:2023年3月31日まで)



・4. 消防設備士等による点検の厳格化

これまで小規模な建物では防火管理者等による点検も認められていましたが、改正後は「全域放出方式」の二酸化炭素消火設備については、建物の規模に関わらず、消防設備士または消防設備点検資格者による点検が必須となりました。




■なぜ死亡事故は起きるのか? 「工事・点検時」のリスク

CO2消火設備は、過去に名古屋市(2020年)、東京都港区(2021年)などで死傷者を出す事故が発生しています。なぜ、これほど危険視されるのでしょうか。



・放射後の避難は極めて困難

二酸化炭素は、空気中の酸素濃度を急激に低下させて消火します(窒息消火)。

消防庁の通知等でも注意喚起されている通り、ガスが放出されると短時間で区画内に充満し、視界が白濁するとともに酸素濃度が低下します。一度放出されてしまうと、自力での避難は極めて困難になります。



・事故の多くは「誤操作」や「手順無視」

事故原因の多くは、設備の不具合というよりも、「第三者が立ち入る工事中」「操作手順の誤り」によるものです。

「メンテナンス業者が閉止弁を閉め忘れていた」「事情を知らない工事業者が誤って起動ボタンを押してしまった」といったヒューマンエラーが、取り返しのつかない事故に繋がっています。だからこそ、ハードウェア(閉止弁)での安全対策が不可欠なのです。



・音声警報の内容を確認してください

万が一の際、中にいる人に退避を促すのが「音声警報」です。

現在の基準では、「火事です…消火剤を放出します…」といった具体的な音声が求められています。点検時には、警報が明瞭に聞こえるか、スピーカーが荷物で塞がれていないかを必ず確認してください。




■高額修理を防ぐための「容器弁」点検と更新判断

法対応と合わせてオーナー様が頭を悩ませるのが、設備の老朽化です。特に注意が必要なのが、ガスボンベの上部に付いている「容器弁」です。



・容器弁には「安全性点検」の推奨時期があります

容器弁は金属製ですが、内部には気密性を保つためのゴムや樹脂部品が使われています。

これらは経年劣化するため、日本消火装置工業会などのメーカー団体は、設置から一定期間(例:約20〜25年)経過した容器弁について、安全性を確認するための点検(または部品交換)を推奨しています。

※「20年で必ず壊れる」わけではありませんが、信頼性を担保するための目安となります。



・放置リスクは「不発」と「漏えい」

劣化した容器弁を放置すると、火災時に弁が開かず「消火できない(不発)」リスクや、平時にガスが少しずつ漏れ出す「漏えい」のリスクが高まります。

特にガス漏れが発生した場合、高圧ガスの再充填には高額な費用がかかる上、漏れた原因箇所の特定と修理が必要になります。



・窒素ガス等へのシステム更新という選択肢

「CO2の法規制対応やリスク管理が負担だ」と感じるオーナー様の間では、改修のタイミングで「窒素ガス」などの不活性ガス消火設備へ入れ替えるケースも増えています。

窒素ガスも酸素濃度を下げて消火する点では同じですが、二酸化炭素特有の麻酔性や毒性がないため、相対的に人体への安全性が高いとされています。


私たち株式会社防災通信工業が、どのような想いでお客様の安全を守っているか、私たちの強みや会社概要については以下をご覧ください。


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■改修・更新費用の考え方(見積もりを取る前に)

「法対応の工事」や「リニューアル」の費用は、物件ごとに大きく異なります。見積もりをご依頼いただく前に、金額を左右する4つの要因を知っておくとスムーズです。



・閉止弁の設置箇所数(系統数)

防護区画や配管の系統が多いほど、必要な弁の数が増えます。



・既設配管の流用可否

システム更新時、既存の配管をそのまま使えるか、引き直しが必要かでコストが大きく変わります。



・工事の時間帯

テナントが入居しているビルなど、夜間・休日作業が必要な場合は割増費用が発生します。



・代替安全措置

設備改修だけでなく、区画の気密性を高める建築工事(隙間埋め)が必要になるケースがあります。




■よくある質問(FAQ)

Q. 閉止弁の設置期限(2024年3月31日)を過ぎてしまいましたが、どうすればいいですか?

A. 直ちに設置工事の計画を立ててください。期限を過ぎた状態は法令違反となり、消防署からの指導対象となります。最短での工事スケジュールをご提案しますので、すぐにご相談ください。



Q. 新しい標識はどこで購入できますか?

A. 消防設備業者経由で購入・設置が可能です。規定のサイズや記載内容(イラスト入り)を満たしている必要があるため、プロにお任せいただくのが確実です。



Q. 窒素ガス消火設備にも閉止弁は必要ですか?

A. はい、窒素ガスなどの不活性ガス消火設備であっても、人命安全対策として閉止弁の設置や標識の掲示は必要です(ただし、CO2特有の規制とは一部異なります)。




■まとめ


CO2消火設備は、正しく管理すれば強力な消火能力を持つ重要な資産ですが、放置すれば経営リスクに直結します。


  • 法改正への対応(閉止弁・標識)
  • 容器弁の安全性確認と更新計画
  • より安全なガスへの切り替え検討


お客様の設備の状況に合わせて、コストと安全性のバランスが取れた最適なプランをご提案します。現地調査や法対応に関するご相談は、以下よりお気軽にお問い合わせください。


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